日本への一時帰国の日程が決まると、多くの人が気になるのが「パスポートの有効期限はどれだけ残っていればいいのか?」「航空券の予約はパスポートがなくてもできるのか?」といった実務的なポイントです。特に海外在住者にとっては、パスポートの更新手続きや航空券の手配の順序に戸惑うことも多いでしょう。海外在住20年の私は、これまで何度も一時帰国を繰り返してきましたが、帰国前には必ず最新の情報を確認するようにしています。本記事では、こうした疑問に応えるべく、パスポートの必要な有効期限、更新の時期や必要書類、航空券との関係性、そしてパスポートの更新方法までを、わかりやすく網羅して解説していきます。基本的には、日本を再出国するまで有効なパスポートがあれば問題ありませんが、航空会社によっては、より長い有効期限を求められる場合もあります。パスポートの申請は、2025年3月より制度が変わり、注意が必要です。
一時帰国に必要なパスポートの有効期限とは?
日本に一時帰国する際、一般的にはパスポートの有効期限が「帰国時点で有効であること」が求められます。日本人が日本に入国するために最低限必要なのは、日本出国時(再出国)まで有効なパスポートです。ただし、航空会社によっては、チェックイン時に「出発日から数ヶ月以上の残存期間」を求められる場合があります。そのため、出発時点で3ヶ月以上の有効期限が残っているかを確認するのが安心です。

予定通り日本を出れないトラブルに備えて有効期限は余裕を持っておきたいことろ。
航空券はパスポートなしで予約できる?

多くの航空会社では、航空券の予約時にパスポート情報の入力は必須ではないことが多いです。名前や生年月日などで仮予約し、後でパスポート情報を追加できるケースが一般的です。ただし、LCCや一部の国際線では、予約時に正確なパスポート情報が必要な場合もあるため、予約前に航空会社の方針を確認しましょう。
航空券とパスポート更新の順番は?
理想的な流れとしては、
- パスポートの有効期限を確認
- 必要なら更新申請
- 新しいパスポート番号が確定してから航空券を購入 という順番が安全です。
とはいえ、繁忙期などで航空券が取りにくい時期には、先に仮予約しておき、後から情報を更新するという手段もあります。
パスポート更新はいつからできる?
日本のパスポートは、有効期限の1年前から更新可能です。つまり、有効期限が迫っていなくても、帰国予定があるなら早めの更新が可能です。海外在住者の場合は、在外公館(領事館)での手続きになります。予約制のことが多いので、事前に確認しておくと安心です。


私がよく使うニューヨーク日本領事館はいつも予約でいっぱい。すぐには予約できないので余裕を持って手続きしましょう。
なお、2025年3月から、日本のパスポートの発行システムが変更され、全国で一括処理される方式に移行しました。その影響により、以前よりも発行に時間がかかるようになり、申請から受け取りまでにおよそ1か月(3~4週間)かかるケースもあります。
ここで注意したいのが、有効期限の起算日です。パスポートを更新した場合、新しいパスポートの有効期限は前のパスポートの有効期限満了日からではなく、発行日から起算されます。たとえば、有効期限があと6か月残っている状態で更新すると、新しいパスポートはその時点から10年間有効となるため、元の有効期限の残り期間は加算されません。更新料や時間の無駄を避けたい場合は、更新のタイミングにも注意が必要です。
とくに一時帰国や航空券の手配が迫っている場合は、余裕を持ったスケジュールで申請することが重要です。
パスポートの更新・発給法
2025年3月24日以降、日本のすべてのパスポートは国立印刷局で一括作成されるようになり、制度が大きく変わりました。
日本国内では、マイナンバーカードを使ったオンライン申請が可能となり、申請者が窓口に行くのは原則「受け取り時のみ」。これにより、申請から交付までのプロセスが効率化され、以前よりもスピーディーに発行される傾向にあります。
一方で、海外からの申請にはオンライン申請は対応しておらず、これまで通り在外公館で紙の申請書を使って手続きを行う必要があります。
さらに、すべてのパスポートが日本国内で作成されて滞在国に送られてくるため、海外では申請から交付まで3〜4週間程度かかるケースもあります。

なぜ、国立印刷局で一括作成?
これまで、日本のパスポートは各都道府県の旅券事務所や在外公館などで分散して作成されていました。しかし、2025年3月からは、すべてのパスポートが東京都内にある国立印刷局で一括作成される仕組みに変更されました。
その理由は大きく2つあります。
1. 偽造防止とセキュリティ強化
国際的な安全基準に準拠するため、日本政府はパスポートのセキュリティを大幅に強化しました。2025年から導入された新型パスポートでは、顔写真ページにプラスチック製のカード(レーザー印字)を採用し、高度な偽造防止技術が使われています。これに対応できる専門設備と厳重な管理体制を持つのが、国立印刷局なのです。
2. 品質の均一化と効率化
全国の自治体でバラバラに作成していた体制をやめ、中央で一括管理することで、発行品質の統一と作業の効率化が図られます。これにより、ヒューマンエラーや地域差のない高品質な旅券の提供が可能になりました。
古いパスポートとの違い
2025年に導入された新しいパスポートは、これまでのパスポートと比べていくつかの明確な違いがあります。特に、セキュリティ面とデザイン面での変更が大きく、以下のような特徴があります。
写真が3か所に表示される
新しいパスポートでは、顔写真が以下の3か所に配置されます:
- メインの顔写真ページ
- レーザーで彫り込まれた小型の白黒画像
- UV(紫外線)光でのみ見える隠し写真
これにより、偽造防止が大幅に強化されています。
顔写真ページがプラスチックカードに
従来の紙ベースのページではなく、ICチップ内蔵の**プラスチックカード(レーザープリント式)**が使われています。これも偽造を難しくするための対策です。
フリガナ表記の導入
2025年から戸籍にフリガナの記載が始まり、それに伴いパスポートにもローマ字表記のルールが強化されました。ローマ字氏名は戸籍のフリガナに準拠して記載されます。
写真と情報の特殊加工表示
さらに、新しいパスポートでは、見る角度を変えると顔写真と生年月日が入れ替わるホログラム加工も施されています。これにより、コピーや偽造がより困難となっており、セキュリティ性が一段と高められています。
デザインの一新
各ページには浮世絵をモチーフにした芸術的なデザインが施されており、見た目にも現代的かつ日本らしさが際立っています。
パスポート更新に必要な書類(海外からの申請)

2025年3月より、日本国内での申請方法や必要書類が大きく変化した一方で、海外在住者による申請手続きはこれまでとほぼ変わっていません。更新手続きには、以下のような書類が一般的に必要とされています:
- 現在の有効なパスポート
- パスポート用写真(縦45mm×横35mm、背景が無地で明るい色、申請日より6ヶ月以内に撮影したもの。公館によっては3ヶ月以内の写真を求める場合もあります)
- 居住地証明書類(在留カード、ビザ、現地のIDなど)
※必要かどうかは申請国の在外公館によって異なります - パスポート申請用紙(各公館のウェブサイトからダウンロード可能)
各国の大使館・領事館では、それぞれ独自の案内を行っているため、申請前に必ず該当する在外公館の公式サイトで最新情報を確認するようにしてください。
最新のパスポート更新費用(2025年度版)
2025年4月1日以降、パスポートの手数料は以下の通り改定されました。日本円および米ドルベースの最新情報です。地域により若干異なる場合がありますので、必ず申請先の在外公館でご確認ください。
パスポート種別 | 日本円(JPY) | 米ドル(USD) |
---|---|---|
10年旅券(16歳以上) | 16,000円 | 115ドル |
5年旅券(12歳以上) | 11,000円 | 79ドル |
5年旅券(12歳未満) | 6,000円 | 43ドル |
残存有効期間同一旅券 | 6,000円 | 43ドル |
帰国のための渡航書 | 2,500円 | 18ドル |
※日本国内ではオンライン申請と窓口申請で手数料が異なる場合があります。海外からの申請は原則としてオンライン申請ができないため、窓口申請(紙での申請)が基本となります。 ※各国の在外公館で支払い方法(現金/クレジットカード)も異なるため、事前確認をおすすめします。
※費用は変更される可能性がありますので、申請前に必ず最新情報をご確認ください。
支払い方法について
パスポート更新費用の支払い方法は、申請する日本大使館または領事館の所在地によって異なりますが、以下のようなケースが多く見られます。
- 現金払いのみ対応(最も一般的)
指定された通貨での現金払いが基本です。たとえば、アメリカでは米ドル、中国では中国元での支払いが求められます。 - 指定小切手(Money Orderなど)での支払い
アメリカやカナダなどでは、現金以外に「Money Order(郵便為替)」や「Certified Check(銀行発行の小切手)」が必要な場合があります。個人小切手やクレジットカードは使えないことがほとんどです。

結局のところ、いつも現金で支払っています。
- デビットカード/クレジットカード:不可のことが多い
多くの在外公館ではカード決済に対応していないため、事前に現地の支払い方法を確認することが重要です。

日本国内のオンライン申請ではクレジットカードで支払えるそうですが。
失効している場合や名前が変わった場合の対応
有効期限が切れてしまっている場合でも、パスポートの再発行は可能です。再発行時にも基本的には更新時と同様の書類が必要ですが、失効期間が長い場合や身分証がない場合は追加書類が求められることがあります。
また、結婚などで氏名が変更された場合も、新しい名前でのパスポート再発行が必要になります。
子どものパスポート申請について(国内・海外の違い)

未成年(20歳未満)の子どもがパスポートを申請する場合、有効期間は原則として5年間です。特に初めての申請には、以下の書類が必要になります:
- 出生証明書 または 戸籍謄本(本人と親権者の関係を証明するため)
- 親の同意書(両親または親権者の署名が求められることが多い)
- 子どもの顔写真(規定あり)
写真については、基本的に大人と同じ規定(縦45mm×横35mm、無背景、正面、無表情、6か月以内に撮影されたもの)が適用されます。ただし乳幼児などの場合、多少の例外や配慮が認められることもあります。たとえば、口が少し開いていたり、目線が正面から少しずれていても受理されるケースもあるため、事前に申請先の大使館・領事館のガイドラインを確認することをおすすめします。
また、小さな子どもの写真撮影は難しいことが多いため、パスポート用写真の撮影に慣れた写真スタジオを利用すると安心です。特に海外では、規定に沿わない写真で再提出を求められるケースもあるため、プロに依頼することでスムーズな申請が可能になります。
大人同様、子どもも、海外ではオンライン申請はできないため、在外公館での窓口申請が必須となります。多くの公館では、15歳未満の子どもは保護者(法定代理人)が同行・代理提出する必要があります。申請書や同意書の書式も大使館・領事館ごとに異なることがあるため、必ず事前に該当公館の案内を確認しましょう。
パスポート番号の変更に注意

パスポートを更新すると、新しい旅券が発行されるため、パスポート番号も変更されます。これはセキュリティ上の理由によるもので、更新前とまったく同じ番号が使われることはありません。
もし既に航空券を予約済みで、その際に旧パスポート番号を登録していた場合は注意が必要です。航空会社によっては、予約時のパスポート情報との不一致がチェックイン時や出入国審査で問題になることがあります。
このような場合は、航空会社に連絡し、新しいパスポート番号を伝えることを忘れないようにしましょう。特にオンラインチェックインを利用する場合、事前に情報を更新しておくことで、当日のトラブルを防ぐことができます。
一時帰国中のパスポート更新と航空券予約のポイント

一時帰国中にパスポートの更新を検討する方も多いと思います。2025年3月以降、申請制度が一部見直され、オンライン申請の対象が拡大されました。
短期海外在住者や他拠点生活者で、日本に住民票とマイナンバーのある方は、オンラインでの申請も可能になっています。
一方で、住民票のない方(海外転出済み)についても、従来通り窓口での更新申請は可能ですが、「居所申請」という特例的な方法が制度上明確化され、事前準備がより重要になりました。
まず、国内申請のメリットとデメリットを解説し、その後、海外在住者の「住民票がない方」と「住民票がある方」に分けて、それぞれの日本国内での更新方法をわかりやすく解説します。
国内申請のメリット
- 発行までの期間が短い(通常1〜2週間程度)
┗ 在外公館での申請では3〜4週間以上かかることが多く、それに比べれば早い - 一部の人はオンライン申請も可能(住民票+マイナンバーカードがある場合)
国内申請のデメリット
- 必要書類が多くなることがある
┗ 特に住民票がない人(=マイナンバーカードがない人)は、
✔「居所申出書」
✔「海外在住を証明する書類」(現地の在留証・運転免許証など)
✔ 「渡航証明書類」(帰国便チケットなど)など、追加書類が複数必要 - オンライン申請は使えない(居所申請者の場合)
- 受け取りまで本人が日本国内に滞在している必要がある
- パスポート番号が変更されるため、復路の航空券情報に影響が出る可能性がある
┗ 一部の航空会社では、事前にパスポート情報を更新できない場合があり、空港で申告が必要。スムーズに搭乗するためには、航空会社への事前連絡や当日の早めのチェックインが推奨されます。
住民票のない方(海外転出済み)の申請方法
「居所申請」で日本国内でも更新可能に
海外在住者が一時帰国中に日本でパスポートを更新するには、「居所申請」という手続きを使います。これは、住民票がない方が現在滞在している住所(=一時帰国中の滞在先)を基に申請できる制度です。
必要書類
- 一般旅券発給申請書(窓口または公式サイトから取得)
- 顔写真(規格に合ったもの)
- 本人確認書類(パスポートや外国のID)
- 居所申請申出書
- 一時帰国者であることを証明する書類(以下のいずれか)
- 有効な外国の滞在許可証(例:ビザ、グリーンカード)
- 外国政府発行の在留証明書
- 外国の運転免許証 など
💡 地域により細かな運用が異なるため、申請予定のパスポートセンターに事前確認をおすすめします。
住民票のある方(マイナンバー保持者)の申請方法
オンライン申請 or 窓口申請が可能
住民票が日本国内にあり、マイナンバーカード(署名用電子証明書)が有効な方は、マイナポータルを使ったオンライン申請が可能です。海外から申請して日本で受けとることも可能です。
オンライン申請に必要なもの
- マイナンバーカード(署名用電子証明書が有効なもの)
- スマートフォンまたはパソコン(マイナポータルアプリ利用)
- 顔写真データ(規格に合ったもの)
- 自署(サイン)画像
- メールアドレス・電話番号
- 戸籍電子証明書提供用識別符号(※新規発給や記載事項変更の場合)
窓口申請の場合
- 一般旅券発給申請書
- 顔写真(規格に合ったもの)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 現在のパスポート(更新の場合)
- 戸籍謄本または抄本(必要な場合)

日本でパスポートを更新したら帰りの航空券はどうなる?
パスポートを更新すると番号が変わるため、復路の航空券に影響が出ないか不安に感じる方も多いでしょう。このような場合は、まず航空会社に連絡を取るのが基本的な対応です。
多くの航空会社では、オンライン上でパスポート情報の変更や予約内容の修正が可能ですが、システム上の制限や航空券の条件によっては対応できないこともあります。その場合は、出発当日に空港のチェックインカウンターで直接相談すれば、多くのケースで柔軟に対応してもらえます。
また、キャンセルポリシーや変更手数料についても事前に確認しておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。航空券の種類によっては変更不可のものもあるため、予約前に細かい条件までしっかり確認しておくことが重要です。
復路のスケジュールまで安心して計画を立てるためにも、こうした手続きに対応できる航空券を選ぶ、あるいはパスポートの有効期限が十分に残っているうちに滞在国で更新を済ませておくのが、より確実な選択といえるでしょう。

帰りの空港まで不安を持ち越したくないから、滞在国で更新しておく方が良いですね
外部リンク(参考情報)
- 🔗 外務省 パスポート(旅券)公式ページ
┗ パスポートの種類、申請手続き、有効期限、手数料について網羅的に掲載 - 🔗 外務省 パスポート:子ども(未成年)の申請について
┗ 親の同意書、出生証明書、未成年の本人申請の詳細 - 🔗 外務省 パスポート用写真の規格について
┗ 顔写真のサイズ、背景、注意点(大人・子ども共通) - 🔗 在外公館一覧|外務省
┗ 世界各国にある日本大使館・総領事館の連絡先一覧 - 🔗 パスポートに関するよくある質問(Q&A)
┗ 有効期限切れ、再発行、名前変更、紛失時の対応など - 🔗 政府広報オンライン:2025年からパスポート申請がより便利に
┗ オンライン申請制度の概要や利用手順などを解説
一時帰国に必要なパスポートの有効期限・航空券手配ガイド まとめ

一時帰国の際にもっとも重要となるのが、パスポートの有効期限と航空券の手配です。本への入国自体は、再出国まで有効なパスポートがあれば可能ですが、航空会社によっては3か月以上の残存期間を求めるケースもあるため、余裕を持って更新しておくのが安心です。
海外在住者にとって、パスポートの更新は原則として在外公館での手続きになります。発行までは通常3〜4週間ほどかかります。また、一時帰国中に日本国内でパスポートを更新することも可能ですが、住民票がない場合は「居所申請」を行い、さらに、追加書類(滞在国の在留証明や帰国便のチケットなど)が必要となります。オンライン申請は利用できません。発行期間が1〜2週間程度と早く受け取れることは国内申請のメリットかもしれません。
一方、日本国内に住民票とマイナンバーカードがある方であれば、オンライン申請が可能になっています。申請から受け取りまでの手続きが効率化され、原則として窓口に出向くのは受け取り時のみで済みます。
パスポートを更新すると番号が変わるため、すでに航空券を予約している場合は、新しい番号を航空会社に伝える必要があります。帰りの空港で伝えても柔軟に対応してくれることが多いようですが、事前に航空会社へ連絡し、情報の修正を行っておくと安心です。
限られた一時帰国の時間を安心して過ごすためにも、制度や要件を正しく理解し、最適な方法でパスポートと航空券の手配を進めていきましょう。
一時帰国で必要な手続き・法律関連のまとめ記事はこちらです。

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