滞在国への再入国確保
海外在住者が日本へ一時帰国する際、多くの方が気にするのが「その後、滞在国に無事戻れるのか」という点です。必要な書類や手続きは滞在国ごとに異なり、ビザや居住ステータスによっても準備すべき内容が変わってきます。
こんな不安はありませんか?
- 一時帰国の予定があるけれど、再入国に何が必要かわからない
- 法律や制度が変わっていると聞いて不安
- 自分のケース(留学・駐在・永住)に合った手続きが知りたい
- 過去にトラブルや誤解で犯罪歴がついてしまい、再入国審査が心配
日本への一時帰国の前に、滞在国へ確実に再入国できるよう準備しておくことが必須です。

このあたりの法律は変わり続けるので海外在住邦人にとってはいつも不安になるところ。
近年は各国のビザや入国管理のルールが頻繁に改正されており、「以前はこれで大丈夫だったのに通用しない」というケースもあります。特にアメリカやイギリス、オーストラリアのようなビザ管理が厳しい国では、一時帰国中の再入国準備を怠るとトラブルになるリスクがあります。
この記事では、筆者がアメリカ在住の立場から、特にアメリカに関する情報を中心にご紹介しますが、他の国に住んでいる方にも参考になるよう、可能な限り共通点を押さえた内容とし、国別に特有の情報がある場合はその点も明記しています。また、留学生・駐在員・永住者それぞれのステータスに合わせた再入国手続きのポイントをわかりやすく整理し、さらに「犯罪歴がある方」向けの注意点と対策も、特別に取り上げて解説しています。
この記事を読むことで、あなたが再入国に必要な書類や準備をきちんと把握でき、不安を解消して安心して一時帰国できるようになります。
再入国に必要な共通書類は、パスポート、滞在許可証(ビザやグリーンカード)、身分証明書です。
これに加えて、滞在国や在留ステータスによっては、その他の書類が必要となる場合があります。
なぜ「再入国書類」の確認が大事なのか?
一時帰国前の準備を怠ると、以下のようなトラブルが起こり得ます。
- 再入国時に空港で足止めされる
- 学生ビザや駐在ビザが無効になる
- 最悪の場合、再入国を拒否されることも…
そのため、「帰る前」にチェックしておくべき書類リストはとても重要です。

再入国できないとなると本当に大変なので準備は大事
再入国時に必要な書類【一時帰国者向け・共通編】

一時帰国後に滞在国へ再び入国するためには、どの在留ステータスであっても共通して求められる基本的な書類があります。これらを事前に揃えておくことで、空港でのトラブルや搭乗拒否といったリスクを大幅に減らすことができます。
ここでは、留学生・駐在員・永住者のいずれにも共通して必要となる書類を一覧でご紹介します。チェックリストとしても活用し、抜け漏れのない準備を心がけましょう。
- 有効なパスポート(有効期限を必ず確認)
- 滞在国のビザまたは在留許可証(以下の国などで必要:アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ドイツ、フランス、シンガポールなど)
- 航空券(往復または復路分)
- 再入国許可証またはリエントリーパーミット(以下の国で必要なケースあり:アメリカ(1年以上の出国時)、シンガポール、マレーシア、UAEなど)
- 身分証明書や居住証明書(現地での身分証や保険証など)
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【留学・駐在・永住】一時帰国後の再入国に必要な書類と注意点
留学生・駐在員・永住者などそれぞれのケースでの必要書類と注意点を解説していきます。
① 【学生ビザ】一時帰国と再入国の手続き・注意点

学生ビザで海外に滞在中の方が一時帰国する場合、「学生ステータスの維持」がもっとも重要なポイントです。とくにアメリカやイギリスなどでは、在籍証明やビザ関連書類が不十分なまま再渡航しようとすると、入国審査で引き止められたり、追加書類の提出を求められるケースがあります。
ここでは、学生ビザ保持者が安心して一時帰国・再渡航できるように、必要書類や注意点、手続きの流れを整理しました。
必要書類:
- 学生ビザ(Student Visa)の有効期限確認
- 学校からのEnrollment Letter(在籍証明書)
- 留学先のI-20(アメリカ)やCAS(イギリス)などの公式書類
- SEVISなどのシステム登録状況(アメリカ留学の場合)
- Jビザの場合はDS-2019(Certificate of Eligibility for Exchange Visitor Status)も必須
注意点:
- 帰国中にビザが失効すると再申請が必要
- 空港審査で書類不備があると別室審査になることも
- 電子書類のみでは対応できない国もある(印刷推奨)
一時帰国時の流れ(タイムライン):
時期 | やること |
---|---|
出国前 | 学校から在籍証明・I-20発行、ビザ有効期限確認、再入国予定日を伝える |
日本滞在中 | 書類は常に携帯。更新申請が必要なら大使館で手続き |
再入国時 | パスポート、ビザ、I-20/DS-2019、Enrollment Letterを提示 |
I-20の署名欄は再入国の有効期限(通常6か月)を超えていないかも要確認。
書類の原本は紛失防止のためPDF化し、クラウドにも保存しておくと安心です。
② 駐在員の場合

企業からの派遣や海外勤務などで就労ビザを取得して滞在している方が一時帰国をする場合、再渡航後もビザステータスが有効であることの証明が重要です。とくに駐在員は、会社任せにしてしまいがちな一方で、現地の再入国に必要な書類は国によって大きく異なるため、出国前に自分自身で確認・準備しておくことが必須です。
また、配偶者や子どもを帯同している場合は、自分だけでなく家族の書類やビザの有効期限も併せて確認しておく必要があります。
必要書類:
- 就労ビザ(Work Visa)および滞在許可証
- → 滞在国により名称・有効期限・更新方法が異なる。再入国時に有効であることを確認。
- 会社の派遣証明書または雇用証明書
- → 再入国審査で「雇用が継続していること」を示す資料として使用。英語または現地語推奨。
- 再入国許可証(必要な国のみ)
- → 国によっては事前申請が必要。オンライン申請対応のケースも。
- 配偶者・子どもの就労・滞在ステータスを確認できる書類
- → 家族分のビザ/パスポート/出生証明書(必要に応じて翻訳)
注意点:
- 会社側が手配してくれるとは限らない:HR部門と早めに連携し、必要書類の発行を依頼。
- 帰国中にビザ更新時期がかぶると要注意:出国前の更新や、帰国中の大使館での対応も検討。
- 国によっては再入国許可を出国前に申請しておく必要がある:特に一時的なビザ保持者は注意。
一時帰国時の流れ(タイムライン):
時期 | やること |
---|---|
出国前 | 就労ビザの有効期限確認/派遣証明書・雇用証明の取得/再入国許可証の有無を確認 |
日本滞在中 | 書類を手元に管理。家族のビザや更新状況もチェック |
再入国時 | パスポート・ビザ・会社証明書・再入国許可(必要国)を提示 |
帯同家族がいる場合は、「家族分のビザ」「戸籍謄本や出生証明」「英文の家族関係証明書(必要国)」なども準備しておくと安心です。
また、再入国時の審査で「駐在先に戻る理由(雇用の継続性)」を口頭で問われるケースもあるため、会社の連絡先や雇用契約書のコピーも携帯するとよいでしょう。
③ 【グリーンカード】永住者が一時帰国する際の注意点と再入国のポイント

永住権(例:アメリカのグリーンカード)を持っていても、「いつでも自由に再入国できる」わけではありません。一時帰国の期間や「居住の意思」の証明が求められる場合があり、長期滞在や頻繁な出国を繰り返すと、永住資格を失うリスクもあります。
特にアメリカでは、半年以上の国外滞在や、帰国前に「Re-entry Permit(再入国許可証)」を取得していない場合、再入国審査で厳しく問われることがあります。
必要書類:
- 永住権カード(例:グリーンカード)
→ 再入国時に有効であること。更新中の場合は証明書類も持参。 - 出国期間の確認
→ 半年以上の不在で「永住の意思」が問われる可能性あり。 - Re-entry Permit(再入国許可証)※1年以上の滞在予定者は必須
→ 出国前に申請・取得しておくと、永住権放棄と見なされるリスクを防げる。 - 居住の継続性を示す書類(必要に応じて)
→ アメリカでの雇用契約、納税記録、住居証明などがあると安心。
注意点:
- 永住権は「保持の意思」が問われる制度
→ 「ただのカード保持」ではなく、生活拠点を維持しているかが審査対象になる。 - 家族(子ども・配偶者)の永住資格も同様にチェックが必要
- アメリカ国外で1年以上滞在する場合は「Re-entry Permit」の取得が強く推奨される

私はグリーンカードと念のためアメリカの運転免許を準備しています。
一時帰国時の流れ(タイムライン):
時期 | やること |
---|---|
出国前 | 永住権カードの有効期限確認/滞在予定が1年以上ならRe-entry Permitを申請 |
日本滞在中 | 出国期間に注意し、滞在理由を示せる記録を保管。再入国審査に備える |
再入国時 | 永住権カード・Re-entry Permit(所持者)・生活拠点証明などを提示(必要に応じて) |
アメリカの場合、1年以上の出国は永住権放棄と見なされるリスクがあるため、Re-entry Permitの取得を強くおすすめします。出国が迫る方は、6か月以上前からの申請が理想的です。
また、**「住民票の転出証明を出さない」「アメリカの納税記録を残す」**なども有効な対策です。
永住者の再入国に関する注意点
永住権を持って海外に滞在している方が一時帰国する場合、帰国中の滞在期間が長くなると永住資格の扱いに影響することがあります。
たとえば、アメリカ・カナダ・オーストラリアなどでは、永住権を維持するために「継続的な居住実績」が求められるケースが一般的です。
以下の点に注意しましょう:
- アメリカのグリーンカード保持者は、1年以上アメリカ国外に滞在すると、永住権放棄と見なされるリスクがあります。
- また、半年以上の不在でも、入国審査で「永住の意思」を疑われ、詳細な質問を受ける可能性があります。
- 長期滞在が予想される場合は、出国前に「Re-entry Permit(再入国許可証)」を取得することが強く推奨されます。
- 再入国時に「本当にアメリカに戻って住む意思があるか」が問われることがあるため、就労証明・納税証明・居住証明などの準備をしておくと安心です。
また、お子さんなど帯同家族の永住資格の状態も併せて確認しておきましょう。
Re‑entry Permitとは?(アメリカ在住日本人向け補足)

この許可証は、アメリカ国外に1年以上滞在することでグリーンカードを放棄したとみなされるリスクを回避し、再び問題なくアメリカに入国するためのものです。以下のような方におすすめです。
- 一時的に日本で1年以上滞在予定のあるグリーンカード保持者
- 将来アメリカに戻る予定が明確な方(仕事・家族・家などがアメリカにある)
再入国許可を確実に取得するための4ステップガイド(アメリカ在住日本人向け補足)
申請方法(アメリカ国内で申請)
出国前、アメリカ国内に滞在している間に申請する必要があります。国外からの申請は不可です。
USCIS(米国市民権移民局)に対して、Form I‑131(Application for Travel Document)を使用して申請します。 ▶ USCIS公式サイトへ
必要書類
- Form I‑131
- グリーンカードのコピー(表裏)
- パスポートの身分証明ページのコピー
- 出国理由・予定期間・帰国意思を示すカバーレター
- パスポートサイズの写真(2枚)
- 手数料($575 + バイオメトリクス$85、計$660)
① バイオメトリクス(指紋採取)手続き
目的:USCISに本人確認情報(指紋・顔写真)を提供し、審査開始の条件を満たす
手順:
- Form I‑131を提出(オンラインまたは郵送)
- 約1~2週間後、USCISから「バイオメトリクス予約通知(ASC Appointment Notice)」が届く
- 通知された日付・時間に、指定されたApplication Support Center(ASC)で指紋採取を受ける
- 必要書類:通知書、グリーンカード、パスポート、I‑131のコピー
注意点:
- バイオメトリクスは米国内でのみ可能。出国前に必ず完了させましょう
- 日程変更は可能だが、出国日が迫っている場合は慎重に調整を
② 許可証(Re-entry Permit)取得と受け取り方法
目的:グリーンカード保持者としての資格を維持しつつ、1年以上の国外滞在が可能になる
方法:
- 指紋採取後、USCISが審査を開始(処理に12~16か月かかることも)
- 「配送先(Mailing Address)」に指定した米国内住所に紙の許可証が送られる
おすすめ:
- 信頼できる家族・知人の住所を使う or 弁護士に依頼して受け取り代行をしてもらう
- 日本滞在中に必要な場合は、米国大使館・領事館宛てに配送することも可能(申請時に指定)
③ 進捗状況の確認(ステータス追跡)
目的:申請処理状況を把握し、遅延やトラブルに早期対応
確認方法:
- 申請後に届く「Receipt Notice(I‑797)」に記載された13桁の申請番号を控える(例:IOE1234567890)
- 下記サイトで入力して進捗を確認: ▶ USCIS Case Status Online: https://egov.uscis.gov/casestatus/landing.do
- さらに詳細を知りたい場合は: ▶ USCIS Case Processing Times: https://egov.uscis.gov/processing-times/
TIP:
- 指紋採取から2か月以上ステータスに変化がない場合は、「Case Inquiry」から問い合わせ可能
④ 紛失・未着トラブルへの備え
万が一の対処法:
- 許可証の追跡可能な郵送手段(USPS Trackingなど)を使うと、未着確認がスムーズ
- 紛失した場合、Form I-131を再提出(再発行申請)が必要になる可能性あり
- 日本滞在中に紛失した場合は、在日米国大使館や領事館に早めに相談を
予防策:
- 許可証は大切に保管し、再入国までにコピーを2部以上作成
- 紛失に備えて、デジタルコピー(スキャン)をクラウドに保存しておくのもおすすめ
処理にかかる待ち時間(最新情報)
USCISの各サービスセンターでは、Re-entry Permitの申請から許可までに12〜16か月程度かかるケースが多く、ネブラスカサービスセンターでは16か月前後が目安とされています。
早めの申請が必要な理由
- 日本に1年以上滞在予定がある場合、出発の6か月以上前には申請を済ませましょう。
- 指紋採取の予約は申請後約6週間以内に通知されます。出国前に完了させる必要があります。
- 許可が下りる前に出国しても問題ありませんが、本人確認ができないと許可証の受領が遅れる可能性があります。
有効期間と注意点
- 有効期間は最大2年間。
- 滞在理由が一時的(介護、出産、家族の事情など)であることが求められます。
- 再入国許可があっても、米国入国時に移民審査官が「居住放棄していないか」を判断します。
🧭 全体の流れをざっくり整理(チェックリスト風)
ステップ | 内容 | タイミングの目安 |
---|---|---|
Step 1 | Form I‑131提出 | 日本出発の6〜12か月前 |
Step 2 | バイオメトリクス予約通知 → 指紋採取 | 提出後1〜2週間 → その後1〜2週間以内 |
Step 3 | 許可証の郵送先設定・受取 | 指紋採取から約3〜16か月後(個人差あり) |
Step 4 | 再入国時に携帯・提示 | 日本滞在中も常時管理 |
④【要注意】滞在国で犯罪歴がある場合の再入国と注意点

国際結婚をして海外に滞在している日本人の中には、配偶者による虚偽の通報により、ごく普通の日本人なのに犯罪歴がついてしまったケースが少なからず存在します。
このような事態が国際結婚において多く見られる背景には、そもそも文化や言語の違いから関係が破綻しやすいことに加え、破綻時に相手を攻撃する傾向のあるパーソナリティ障害(とくに自己愛性や境界性)の特徴を持つ人物が、国際結婚を選ぶ傾向が一部に存在することが指摘されています。
そのため、DV(家庭内暴力)やモラハラ(精神的な虐待)といった問題が国際結婚で起こりやすく、結果として日本人配偶者が冤罪的に犯罪歴を負わされてしまうケースも少なくありません。
このような背景を持つ方にとって、一時帰国後に滞在国へ再入国する際の審査は、大きな不安材料となります。特に子どもが滞在国にいるなど、絶対に再入国拒否を避けたい事情がある場合は、そもそも軽い気持ちで一時帰国をしないことも重要な判断となります。
犯罪歴があることで、入国管理当局から追加の質問や審査を受ける可能性が高くなり、最悪の場合、再入国が拒否されるリスクも否定できません。
とはいえ、やむを得ず一時帰国しなければならない事情もあるでしょう。そこでこのセクションでは、再入国にあたって注意すべきポイント、準備しておくべき書類・証明類、審査への対応方法などを、できるだけ具体的かつ現実的に整理しました。
再入国の可否はケースバイケースですが、できることを事前に把握し、慎重に備えることが不可欠です。
以下のような書類を事前に準備しておくことで、スムーズな審査を促すことができます。
- 移民弁護士によるレター(Legal Opinion Letter) 弁護士が「この人物が再入国を許可されるべき正当な理由」を法的観点から説明したレター。 事件の背景、裁判の経緯、判決の詳細、更生の意思や社会復帰状況(例:保護観察〈probation〉の履行状況など)を含む。 入国審査官に対する「信頼回復の資料」として有効。
- 裁判記録・判決文の写し 事件の経緯がわかる公的文書。可能であれば「不起訴」「無罪」や軽微な罪である旨が明記されたもの。 英訳版と原本の両方を準備。
- 身元保証書・推薦状 弁護士以外にも、勤務先・学校・地域団体からの推薦状などがあると信頼性が上がる。 内容は、「この人物は現在安定した社会生活を送っており、再犯リスクがない」ことを強調。
- 更生・社会活動の証明 カウンセリングやリハビリへの参加証明。 地域ボランティア・納税証明・教育機関への在籍証明など、社会参加を示すもの。
- パスポート、ビザ、滞在許可証(通常通り) 通常の再入国に必要な書類は当然ながら必須。有効期限の確認を怠らずに。
💡追加アドバイス 空港での審査が長引くことを想定し、全書類は紙で印刷して手荷物に入れておくことを推奨します。 心理的に不安な場合は、空港同行・通訳サービスを提供している弁護士と連携しておくのも一つの手段です。 特にアメリカでは、「犯罪歴が移民法違反と判断されるかどうか」が審査に影響するため、弁護士レターは非常に重要です。
再入国時に注意が必要な国々とその特徴

日本に再入国する際は、出発国によって準備すべき書類や注意点が微妙に異なります。とくに日本人が多く住む国では、各国の出入国管理制度や航空会社の運用によって、追加対応が求められる場合があります。ここでは、とくに注意が必要とされる国々について紹介します。
中国
中国は日本人滞在者数がアメリカに次ぐ第2位で、ビジネス・教育・家族帯同など様々な目的で多くの日本人が暮らしています。再入国の際には、日本の在留カードや再入国許可の確認はもちろんのこと、中国出国時に最新のPCR陰性証明や健康コード(緑色のQRコード)を求められる場合があります。これは地方ごと、また航空会社ごとに運用が異なるため、事前に搭乗予定の航空会社や現地日本大使館・領事館の情報を確認することが非常に重要です。特に上海・北京・広州などの大都市圏では、チェックイン時に書類不備で搭乗を断られるケースも報告されています。
韓国
韓国もビジネスや留学で滞在する日本人が多い国です。仁川国際空港などでは、航空会社が再入国関連の書類を厳格にチェックする傾向があります。在留カードや再入国許可の不備があると搭乗できない場合もあるため注意が必要です。
フィリピン・インドネシア・ベトナム
これらの国では、出国前に必要となる現地独自の許可証(例:ECC)やレジデンスカードの確認が行われることがあります。とくに企業駐在員にとっては、再入国のための日本側書類だけでなく、現地での出国要件も把握しておく必要があります。
アメリカ合衆国
再入国時の手続きが比較的スムーズな傾向にあるものの、ESTAの期限切れやグリーンカードの更新と重なると、トラブルになることもあります。航空会社によっては、帰国便搭乗時に在留資格や帰国理由の確認がされることもあるため注意を。
オーストラリア・カナダ・イギリス
これらの国々では、日本に再入国する際の特別な出国要件は少ないものの、現地でのパスポート更新やビザ手続きと重なると、日本再入国手続きにも影響が出ることがあります。在外公館を活用し、手続きを早めに行うことが望ましいです。
家族(配偶者・子ども)と一緒に再入国する場合の注意点

一時帰国後に家族と一緒に滞在国へ戻る際は、同行する配偶者や子どもの滞在資格・ビザの有効期限まで確認する必要があります。とくに日本で出産や婚姻手続きを行った後に再入国する場合は、新しい家族の渡航書類の取得や、親子・夫婦関係を証明する書類の準備も欠かせません。
このパートでは、家族帯同での再入国時に起こりがちなトラブルを避けるために、ケース別に必要な書類や手続きをまとめました。見落としがちな注意点にも目を通して、万全の準備を整えましょう。
日本で子どもが生まれた場合
日本で出産後、初めて滞在国に子どもを連れて戻る場合は、子どものパスポートやビザ(または滞在許可)の取得が必要です。
また、出生証明書やその翻訳、公証書類、親子関係を証明する戸籍謄本などが求められることもあります。出発前に滞在国の大使館・移民局で必要な手続きを確認しておきましょう。
日本で結婚した場合
日本で婚姻手続きを行った場合、滞在国での配偶者ビザの取得または更新が必要になることがあります。婚姻証明書(戸籍謄本)やその翻訳、公証済み書類の提出が求められる国も多いため、早めの準備が大切です。
また、一部の国では結婚後に一定期間内に滞在許可を申請しないと無効になる制度があるため注意が必要です。
配偶者や子どものビザが異なる・有効期限が近い場合
帯同ビザや学生ビザなど、個別の滞在資格を持っている場合は、一時帰国中に有効期限が切れていないかを要確認です。必要に応じて、再入国許可やビザ更新の手続きを出発前に済ませておくと安心です。
入国時に親子関係や婚姻関係を証明する必要がある場合
名字が異なる場合や、配偶者・子どもが現地の市民権を持っていない場合など、関係性を証明する書類(戸籍謄本、婚姻証明書、出生証明書など)の提示を求められることがあります。原本だけでなく、英訳・現地語訳+認証付きの書類も準備しておくとスムーズです。
一時帰国前にやっておきたい準備リスト

一時帰国のスケジュールが決まったら、再入国に備えた準備を早めに始めることが大切です。必要書類の確認だけでなく、ビザやパスポートの有効期限チェック、重要書類のコピーやデジタル保存など、出発前にやっておくべき項目は意外と多くあります。
このセクションでは、一時帰国前に確認・実行しておきたい準備事項をリスト形式で整理しています。渡航当日に慌てることのないよう、今すぐチェックリストを活用して抜け漏れを防ぎましょう。
- 滞在国の大使館・領事館の最新情報をチェック
- 必要書類をスキャンしてデジタル化(スマホ保存)
- 念のため紙のコピーも用意しておく
- ビザ・パスポートの有効期限をダブルチェック
- 滞在先の連絡先を家族や友人と共有
滞在国別の再入国情報リンク(日本人滞在者が多い順)
日本から滞在国に戻る際には、それぞれの国のルールや必要書類が異なります。以下に主要国の再入国情報ページをまとめました。
🇺🇸 アメリカ
CBP – Returning Resident Guide
U.S. Department of State – Visa Policy Updates
🇨🇳 中国(含む香港)
中華人民共和国 駐日本大使館 – 中国への入国案内(日本語)
🇦🇺 オーストラリア
Department of Home Affairs – Re-entering Australia
🇰🇷 韓国
韓国出入国・外国人政策本部 – 在外同胞/外国人再入国案内(英語)
🇨🇦 カナダ
IRCC – Return to Canada
ArriveCAN アプリについて
🇬🇧 イギリス
UK Government – Returning to the UK
🇩🇪 ドイツ
Federal Foreign Office – Entry & Residence
🇫🇷 フランス
フランス政府公式 – 渡航と入国情報(英語)
再入国時に必要な書類 まとめ
ここまでご紹介してきたように、再入国に必要な書類は在留資格(学生・駐在・永住)や滞在国ごとに異なり、個別の準備が欠かせません。特にアメリカのようにビザ・永住資格の管理が厳格な国では、Re-entry Permitの取得をはじめとする事前準備が極めて重要です。加えて、滞在中に犯罪歴が記録された方や冤罪に巻き込まれた方にとっては、再入国時の審査がさらに厳格になるため、通常以上の対策が求められます。
最後に、これまでの情報をわかりやすくまとめたチェックリスト形式で整理しました。自分と家族のステータスに合った書類を一つひとつ確認しながら、安心して一時帰国・再渡航できるよう備えておきましょう。
✅ 再入国時に必要な書類チェックリスト【共通・立場別】
区分 | 必要書類・注意点 |
---|---|
共通 | ・有効なパスポート(有効期限要確認) ・滞在許可証(ビザ・グリーンカードなど) ・航空券(往復または復路分) ・身分証明書または居住証明書 ・再入国許可証(必要な国のみ) |
留学生 | ・I-20(アメリカ) ・Enrollment Letter(在籍証明) ・SEVIS登録状況(アメリカ) ・DS-2019(Jビザの場合) ・ビザの有効期限確認 |
駐在員 | ・就労ビザ ・雇用証明書や派遣証明書 ・再入国許可証(必要国) ・配偶者・子どもの書類も確認 |
永住者 | ・永住権カード(例:グリーンカード) ・出国期間が半年を超える場合は再入国許可証の取得検討 |
犯罪歴がある方 | ・移民弁護士によるLegal Opinion Letter ・裁判記録や判決文の写し(英訳付き) ・身元保証書・推薦状 ・更生・社会活動の証明(例:probationの履行証明、ボランティア記録など) ・通常の再入国書類一式(パスポート、ビザ等) |
🌍 国別:再入国時の注意点と追加書類リスト
国・地域 | 主な注意点・追加書類 | 備考 |
---|---|---|
中国 | ・PCR陰性証明が必要な場合あり ・健康コード(緑色QR) ・書類不備で搭乗拒否の事例あり | 地方・航空会社ごとに運用が異なるため、事前確認必須 |
韓国 | ・在留カード・再入国許可の提示必須 ・不備があると空港で搭乗拒否の可能性 | 仁川空港でチェック厳格化傾向 |
フィリピン | ・ECC(出国クリアランス)やレジデンスカードの確認が必要 | 出国時に空港での確認あり、手続きに時間がかかることも |
インドネシア | ・就労ビザ関連書類とDomicile Letter(居住証明)などの提示が求められる可能性 | 現地企業やHRと事前調整を推奨 |
ベトナム | ・一部で出国許可証(レター)や居住証明書が必要になることがある | 駐在員が多いため会社のサポート体制に依存 |
アメリカ | ・グリーンカード・ビザの有効期限に注意 ・ESTAの期限切れに注意 ・運転免許証をID代わりに持参すると安心 | 搭乗時に滞在資格や帰国理由を聞かれる場合あり |
カナダ | ・特別な出国書類は少ないが、現地でのパスポート更新やビザ申請中は要注意 | 日本入国・再出国に影響するケースあり |
イギリス | ・ビザやBRP(滞在許可カード)などの所持確認必須 ・在籍先・勤務先の書類準備も推奨 | 書類不備による出国トラブル事例あり |
オーストラリア | ・出国時に書類不備がないか確認 ・パスポート更新やETA、永住ビザのステータス確認必須 | 出国条件は緩やかだが、更新手続きが絡むと注意が必要 |
出国前に以下の確認を忘れずに行いましょう:
- ビザやパスポートの有効期限
- 滞在国の最新の出入国ルール(大使館サイトなどで確認)
- 書類のデジタル保存・紙コピーの用意
- 現地と日本の移動スケジュールと再入国期限の把握
もし本記事を読んで「自分の国の手続きについてもっと詳しく知りたい」「特定のケースに合った書類リストが知りたい」などのリクエストがありましたら、ぜひコメント欄やお問い合わせフォームからお知らせください。今後の追記や別記事としてご紹介させていただく予定です。

出発前にもう一度チェックリストを確認し、安心して一時帰国を楽しんでください。
一時帰国で必要な手続き・法律関連のまとめ記事はこちらです。

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